親知らずの抜歯

正常な位置にまっすぐに生えている親知らずは、無理に抜歯する必要はありません。そのまま「普通の永久歯」として使っていくことができます。

抜歯が必要なケースは以下になります。

・生えてくる位置に問題がある
・生えてくる角度に問題がある
・ほかの歯列に大きな悪影響を与える

抜歯が必要かどうかは患者さんの歯やお口の状態によって異なります。まずは歯科医師に相談し、検査を受けることをおすすめします。

親知らずを抜歯するメリットは以下のとおりです。
・予期しない痛みが起こるのを防げる
・歯みがきがしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが抑えられる
・歯並びが悪化するリスクを減らせる

一方で、以下のようなデメリットがあります。
・抜歯後数日は痛みや腫れが出やすい
・1か月程度は抜歯した穴に食べカスが詰まりやすい

患者さんの生活習慣やお口の状況によって、メリットとデメリットのどちらが大きいかは異なります。事前に担当医から説明いたしますので、抜歯するかどうかの検討材料にしてください。

親知らずをより安全に抜歯するために、当院では以下のとおり万全の体制を整えています。

「CT（三次元立体画像）」による事前検査

「CT」は、画像診断装置の一つです。歯や骨の状態、血管や神経の位置関係を立体的に撮影することができます。親知らずを抜歯する際、その周囲には重要な血管や神経が通っており、それらを傷つけてしまうリスクがあります。通常のレントゲンでは血管や神経の詳細な情報を確認することができないため、CTによる撮影が求められます。

広範囲に長時間有効な「伝達麻酔」

親知らずが生えている位置によっては、一般的な局所麻酔では十分な鎮痛が得られないことがあります。そこで当院では、より広範囲で長時間持続する効果が期待できる「伝達麻酔」を使用しています。この麻酔は、比較的長く効果が持続するため、治療後すぐの痛みを和らげる効果も期待できます。

親知らずのみを切る「ピエゾサージェリー」

「ピエゾサージェリー」は、超音波を用いて骨を切る装置です。重要な組織である血管などを傷つけることなく、骨だけを切ることが可能です。そのため、体への負担が軽く、治療後の回復時間も短縮されます。

妊娠を予定している方には、早めの段階で親知らずの抜歯をおすすめします。ホルモンバランスの変化により、親知らずは痛みやすくなりますが、特に妊娠中は女性のホルモンバランスが大きく変動するため、トラブルが起こりやすくなります。

抜歯にはレントゲン撮影や抗生物質の使用など、妊娠後に受けることに抵抗がある検査や投薬が含まれることが多いです。そのため、お腹の赤ちゃんのことを考えると、妊娠中の抜歯はできるだけ避けるのが理想です。痛みを引き起こす可能性のある親知らずを事前に抜歯しておくことで、安心して妊娠・出産に備えることができます。

親知らずは上下左右を対称に抜歯する必要がありますか？

非対称でも問題ありません。それぞれの歯の状態を診察した上で、抜歯の順番を提案いたします。また、必ずしもすべての親知らずを抜歯する必要のないこともあります。

親知らずが生えると歯並びが悪くなりますか？

必ずしもそうとは限りませんが、親知らずが生える前に歯並びが整っていても、親知らずが生えてくることで歯列が押され、歯並びが悪くなることもあります。

どんな親知らずも抜歯可能ですか？

ほとんどの親知らずに対応していますが、以下にあてはまる場合は、大学病院などのより専門性を有する機関に紹介状を書かせていただくことがあります。
・心臓病など、外科手術に伴う全身的なリスクが非常に高い方
・極度の歯科恐怖症から、抜歯に全身麻酔が必要になる方
・親知らずを抜歯する際に、神経や大きな血管を損傷するリスクが非常に高い方